遅延売掛金を発生させないフロー構築を考える
目次
売掛金の管理ができたら気になること
それは…遅延売掛金ですね。
売掛金がきれいに整理され、あるべき残が把握できるようになると、
次に経理は年齢表(Aging Report)を作成します。
これはいわゆる遅延した売掛金の明細を記したリストですね。
具体的にはこんなことが書いてあります。
売掛金管理にも書いてありますのでよかったら。
- 誰が
- いつから
- いくら
- 入金締め日
- 何日遅れてるのか
- 担当営業
上記くらいが書いてあれば十分です。
エビデンスがそろえば、Excelかスプレッドシートで十分です。
発生してしまった遅延売掛金は担当営業と追い切るとして、
継続して作成していくと中身を見て気になることが出てくると思います。
なんかこの取引先、前も見たことがある…
過去を見てみると、やはりある。
こういうことが続く場合、担当営業に詳しくヒアリングをすることをお勧めします。
聞いてみると、大体何かしら問題があります。
私はとある会社で詳しく聞いてみたら空売りをしていることが分かったこともあります。
まあ、そこから長い債権回収の戦いがあったのですが、それはまた別の機会に。
複数回遅延が続く場合、そもそも今の業務フローに問題があるケースが多いです。
入金してくれない会社が悪い??
のんのん、そこに売る許可を出しているフローがおかしいのです。
というわけで、今回は遅延売掛金を発生させないためのフロー構築について考えます。
現状のフローを図式化する
まず全体のフローを把握しましょう。
自分が把握してればまずラフに作って、担当者に聞いてもいいですし、
自信がなければ、知っている人にヒヤリングして理解しましょう。
J-soxの3点セットでもないし、カチッとしたかっこいいのを作る必要はないです。
それよりも、シンプルに理解しやすくしてあげるほうが重要です。
社内で議論するのに耐えられるレベルで十分です。
例えばこんな感じです。
重要なのは以下の点です。
- 契約書に書かれていることは何か
- 例えば、未入金があればサービス停止できるのか
- 連帯保証人を新たにつけるなどの条項はあるのか
- 請求金額の要素は何か
- 物品販売/役務提供型なのか、サブスクなのか
- 請求締め日・入金日はいつか
- 入金タイミングはいつか
- ファクタリングや回収代行を使っていないか
- 遅延が発生するタイミングはどこか
統制をかけるポイントを検討する
フローを整理できたら、次は統制をかけるポイントを検討します。
そもそも統制をかけるのかどうか
ここは超重要ポイントです。
特に新規事業がローンチしたタイミングなどの場合は、
統制云々言っていると、そもそもプロダクトが売れない可能性があります。
ローンチ初期やスタートアップ企業は、
リスクを取ってでも売らなければならない時があります。
その際には、統制をあえてかけずに、ある程度の貸倒を予算化することになります。
今、統制をかけるべきなのかどうかはまず検討してください。
統制を入り口でかける場合
入口、そう取引が発生するときですね。
ここで与信チェックをかけて、基準に満たない会社、
もしくは遅延した実績のある会社などが想定されます。
対象企業を選定したら、前入金してもらいましょう。
それで入金確認でき次第、その分のサービスを提供します。
払ってもらえないなら先に払ってもらうパターンです。
しばらく続けて、うまくいくようだったら通常の取引パターンに移行することも考えましょう。
これを運用すると、遅延売掛金は当然ですが、目に見えて減ります。
ただ、処理が多少面倒になるのでそこは覚悟しましょう。
出口で統制かける場合
出口、それは遅延金が発生してしまった場合です。
対処療法的にはなりますが、発生してしまったときにどう対処するのかを検討するのは大事です。
例えば、以下のケースが考えられます。
- 1回目遅延:
- 督促状送付、電話連絡。
- 2ヶ月入金なし・もしくは2回目:
- 内容証明送付、サービス停止予告
- 3ヶ月入金なし・もしくは3回目:
- サービス停止
- 遅延利息請求する
- 全額支払いさせるまでサービス再開させない
会社によって様々な対応が考えられますが、
意図して遅延を繰り返すのはもはや顧客ではないです。
確固たる意志をもって対応しましょう。
番外編
私が一時期債権回収をやっていた時は、
連帯保証人や根抵当権を入れていたりしました。
ただ、ここまでやると
そもそも契約結んでくれない場合もありますのでほどほどにしましょう。
まとめ
- 売掛金管理ができるようになったら、次は遅延売掛金に着手。
- リスク承知で販売はあり。ただ、あらかじめリスクは見積もる。
- 統制は入口と出口でかけられる。
- やりすぎは注意!
こういう業務フロー改善が経理のあるべき業務だと思っています。
とにもかくにも縛るのではなく、一番合理的で、利益が出るフローの構築をぜひ!!